ヤイトハタ

ヤイトハタ ススズキ目・ハタ科

ヤイトハタ

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標準和名 ヤイトハタ (灸羽田)
分 類 スズキ目・スズキ亜目・ハタ科・ハタ亜科・マハタ属
学 名 Epinephelus malabaricus
英 名 Malabar grouper
分 布 太平洋やインド洋
生息環境 内湾や岩礁域など
全 長 60~100cm 程度
別名・地方名 アーラミーバイ(混称)など
備 考 背びれ・11棘14~15軟条、しりびれ・3棘8軟条
保護状況 国際自然保護連合(IUCN)レッドリスト・準絶滅危惧種(NT)
ヤイトハタは、日本から東シナ海、南シナ海を経て、アラフラ海や珊瑚海、ミクロネシアなどの西太平洋やサモア諸島などの中部太平洋に分布している大型のハタ類で、国内では琉球列島や和歌山辺りより南の南日本に分布している。

また、紅海を含むインド洋にも分布していて、アフリカ東海岸からオーストラリア西海岸まで広く分布しているが、ペルシャ湾では見られないとも言われている。

体は所謂ハタ型で、口は大きく、上顎の後縁は眼の後縁よりも後方にある。
体色は淡い褐色や灰色などで、体側には所々に穴のあいた5本程度の暗褐色の横帯が見られるが、成熟した大型のものでは、一様な暗色に見える。

また、ハタ科の魚は、多くのものが雌性先熟の性転換を行うことが知られているが、ヤイトハタも同様で、成長とともに雌から雄への性転換を行う。
成長すると全長100cm程になるが、110cmを超えた頃には雄として性成熟を迎え、大型のものは全長230cmのものが知られている。

一見するとクエに似ているが、ヤイトハタには頭部や唇を含め、黒褐色の小さな斑が全体に散在し、この黒い斑点がヤイト(お灸)のあとに似ていることから名前が付けられていて、各ひれにも斑がある。

また、クエとは交雑するとされているが、ヤイトハタはチャイロマルハタともよく似ていて、体側に見られる斑点だけで判別するのは難しいが、チャイロマルハタの斑点はふつう茶色や茶褐色などで、ヤイトハタの黒褐色とは異なっている。
また、ヤイトハタの上顎の後縁は眼の後縁下をかなり超えているほか、眼も少し上位についてる。

ヤイトハタは沿岸の浅い岩礁域やサンゴ礁域、マングローブの茂る湿地や内湾など、様々な環境に生息している。
また、幼魚は汽水域でも見られるが、水深150m辺りでも観察されていて、大きいものほど深いところで見られる。
群れをつくることはなく、底性で、小魚や甲殻類などを食べるが、時に頭足類なども食べる。

このほか、ヤイトハタは延縄や刺し網、釣りなどによって漁獲され、食用として利用されている。
美味しいものとして鍋物や刺身などにされ、沖縄などでは養殖も行われている。

しかし、漁獲量が少ないにも関わらず乱獲が行われたほか、近年の開発なども加わり、生息数は減少している。
現在、ヤイトハタはキジハタやチャイロマルハタ、アカマダラハタなど共に国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストに準絶滅危惧種(NT)として指定される状況になっている。

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