ドンコ

ドンコ ススズキ目・ドンコ科


ドンコ


ドンコ 1ドンコ 2ドンコ 3ドンコ 4

標準和名 ドンコ
分 類 スズキ目・ハゼ亜目・ ドンコ科・ドンコ属
学 名 Odontobutis obscura
英 名 Dark sleeper
分 布 日本や中国など
生息環境 河川や池など
全 長 15~20cm 程度
別名・地方名 コジキマラ(滋賀)、ウシヌスト(和歌山)、ウシンコ(岡山)、ゴオン(高知)、ガマドンポ(長崎)、ドンカッチョ(熊本)、アナゴモ(鹿児)、その他・ドロボウズなど
備 考 第一背びれ・7棘、第二背びれ・1棘8軟条、しりびれ・1棘7軟条
ドンコは里山近くの小川などでは馴染みのある淡水魚で、愛知・新潟より西の本州、四国、九州などに分布している。
また、ドンコは南西諸島には分布しないと言われているが、国外では朝鮮、中国、台湾、フィリピン、インドネシアなどに別亜種が分布している。

体はずんぐりとした感じで、頭部はやや縦扁し、尾部は側扁している。
また、頭部は大きく、口も大きくて唇も厚い。

体色は茶褐色や暗褐色、暗緑色のような感じで、変化が多い。
第一、第二背びれの基底の下に、黒色の斑があり、胸びれ基底にふたつ、尾びれの付け根にもひとつの黒斑がある。
各ひれにも不明瞭な斑点列が見られるが、側線はない。

また、腹びれは吸盤状にはなっておらず、左右に分離している。
体側の鱗は櫛鱗で、頭部側面や胸、腹部などは円鱗をしている。

大きいものでは25cm近くになるものも見られ、国内の淡水ハゼの仲間としては、カワアナゴと同じくらいに成長する。
また、ドンコはカジカに似た感じもするが、ドンコはスズキ目、カジカはカサゴ目に属していて、頭部の形も違うし、ドンコの尾びれの先は丸い。

河川の中流から下流域などに生息し、淵に多く見られる。
また、支流や小川などの流れ緩やかなところに多く、用水路や池などにも見られることもある。
砂底や礫底を好み、群れをつくることはなく、縄張りをもった生活をしている。

昼間は岩陰などに潜んでいて、夜間に活動し、小魚や小型の甲殻類、水生昆虫などの動物質を食べる。
ドンコはかなり貪欲で、自分と同じくらいの大きさのものへも襲い掛かるが、動いていないものにはほとんど反応しない。

産卵期は4~7月頃で、雄は岩や倒木などの下面に産卵室をつくり、グーグーと大きな声を上げて雌を誘う習性がある。
この時期の雄は体全体が黒っぽくなり、頬と額が膨らみを見せる。

雌は産卵室の天井に米粒大の黄色い卵を産み付け、雄は孵化するまで卵を守る。
孵化した仔魚の成長は他のハゼ類とは異なっていて、他のハゼの仔魚が鰭条も出来ておらず浮遊生活をするのに対して、ドンコの仔魚は卵黄を食べた後には成魚と同じ形に成長している。
この為、ドンコの仔魚はすぐに底性生活を行うが、このような成長の過程はドンコのほかカワヨシノボリに見られるだけである。

稚魚は浅場の石の間や水草の間など生活し、成長するにしたがって深場に移動する。
また、ドンコは自然下でも5年を超える寿命があると言われているが、海に下ることはなく、一生を淡水域で過ごす。

ふつうは食用に利用されることはないが、白身の魚で、塩焼きやから揚げにされることがある。

西日本ではドンコは馴染みのある淡水魚のひとつであったが、近年では生息地の開発などによって、生息数は減少している。
また、従来は国内では一種とされていたものが、島根県の一部に生息するものがイシドンコとして新たに分類され、他地域に分布しているものも、将来は別亜種とされる可能性が指摘されている。

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