ウグイ

ウグイ コイ目・コイ科



ウグイ


ウグイ 1ウグイ 2ウグイ 3ウグイ 4

標準和名 ウグイ (魚偏に成・石斑魚)
分 類 コイ目・ コイ科 ・ウグイ亜科・ウグイ属
学 名 Tribolodon hakonensis
英 名 Japanese dace
分 布 日本や朝鮮半島など
生息環境 河川の上流域から下流域など
全 長 30~40cm(降海型は45cm) 程度
別名・地方名 イダ(四国・中国・九州)、ハヤ・マルタ(東京)、アイソ(栃木)、アカウオ(長野)、その他・アカハラ、クキ、タロなど
備 考 背びれ・3棘5~7軟条、しりびれ・3棘5~8軟条、側線鱗数68~80
ウグイは沖縄地方と四国の瀬戸内側の一部を除く国内に広く分布していて、朝鮮半島や中国東北部、ロシア東岸などにも分布している。

体はやや側扁した紡錘形で、ふつうは体側が銀白色で背側が黒褐色、腹側が乳白色をしている。
口ひげはなく、側線は完全で、体側の真ん中辺りを真っ直ぐに走っている。

河川の上流域から下流域、湖沼などに広く生息しているが、水深のある湖などでは垂直方向にも幅広い。
しかし、分布範囲も広く、水質汚染にも比較的強いなど、適応力にも優れているが、独立した小さな河川ではあまり見られない。

また、ウグイは一生を淡水で終える淡水型と、河川で生まれた後に海に下る降海型があり、汽水域や内湾、外海の沿岸部にも生息している。
海で生活する降海型は、北のものほどその比率が高く、普通は淡水型のものよりも体が大きくなり、時に50cmを超えるものもいる。

食性は雑食性で、付着藻類のほか落下昆虫や底生動物、他の魚の卵や小魚、更に動物の死骸まで、ウグイは何でも食べる。

産卵期は3~6月頃で、この時期には雌雄共に婚姻色を示し、体側には三本のオレンジ色の縦帯が表れ、この時期のウグイを「アカウオ」や「サクラウグイ」と呼ぶこともある。
また、縦帯に囲まれた部分は黒っぽなり、頭部から尾柄にかけての背側に多くの追星が表れる。

産卵は流れの緩やかな河川の瀬で群れになって行われ、礫底河床に粘着性のある直径2mm程の卵を産卵する。
卵は1~3週間程でふ化し、一年で5~10cmに成長する。
淡水型のものは2~4年で成熟するが、降海型のものは1~数年を河川で生活した後に海に下り、1~数年の間を海で過ごした後、河川に上って産卵する。

また、ウグイには北海道などの河川に生息するエゾウグイ (Tribolodon ezoe) や、新潟県周辺の河川に生息するウケクチウグイ (Tribolodon nakamurai・絶滅危惧種) などが知られてるが(いずれも完全な淡水型)、普段は汽水域や沿岸域に生息し、産卵のために河川を上がるマルタウグイ (Tribolodon brandti) とは交雑が起こりやすい。

ウグイを海釣りの対象として専門に釣る事はまずないが、川釣りでは釣りやすい事もあって釣りの対象魚にもなっている。
また、地方によっては投網などで獲って食用としても重視されている。
「猫も食べない」の譬えから「猫またぎ」などと呼ぶところもあり、一般にはかまぼこなどの原料にされるが、食べると案外美味しく、塩焼きや天ぷら、田楽などにされる。

ウグイは多くの地域でオイカワカワムツなどと一緒に「ハヤ」と呼ばれることも多いが、それだけに分布域も広く、昔から馴染みのある魚として親しまれてきた。
しかし、分布域が広いにもかかわらず、地域によっては生息地が限定されていたり、生息地や個体数が減少しているところもあり、自治体によっては「絶滅のおそれのある地域個体群(LP)」に指定されている。

また、「ウグイ」の由来は、「鵜が食う魚」や、水面近くを遊泳していることから「浮く魚」など、いくつかの説がある。


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