モツゴ

モツゴ コイ目・コイ科



モツゴ


モツゴ 1モツゴ 2モツゴ 3モツゴ 4

標準和名 モツゴ (持子、脂魚)
分 類 コイ目・コイ科・ヒガイ亜科・モツゴ属
学 名 Pseudorasbora parva
英 名 Stone moroko
分 布 日本や中国、朝鮮半島など
生息環境 湖や池沼、ため池など
全 長 8~13cm 程度
別名・地方名 ヤナギモロコ(大阪・岐阜)、イシモロコ(滋賀)、ヤナギハヤ(群馬)、その他・モロコ、クチボソ(いずれも混称)など
備 考 背びれ・2~3不分枝軟条6~7分枝軟条、しりびれ・3不分枝軟条6分枝軟条
モツゴは中国東部、朝鮮半島、台湾などに分布しているが、国内では関東地方より西の本州、四国、九州に自然分布している。
現在は北海道や東北地方、沖縄県などにも移入していて、日本全国に広く見られる。

湖や池沼、ため池などのほか、川の下流域などに生息するが、モツゴは適応力に優れ、場所によっては川の全流域やコンクリートで護岸された都市部の川でも見ることが出来る。

泥底の淀みいることが多く、雑食性で、付着藻類のほか底生動物などを食べるが、成魚は主にユスリカの幼虫を好んで食べる。

体は細長いくて側扁し、体色は灰色から銀白色、側線は完全で体側の中央を縦走している。
普通はこの側線に沿って黒い縦線が見られるが、地域差や個体差があり、中には縦線が全く見られないものもいる。

近縁種のシナイモツゴウシモツゴによく似ているが、モツゴは完全な側線を持っているので見分けられる。
また、タモロコにも似ているが、モツゴに口ひげはなく、雄の方が大きくなる。

地方によって「クチボソ」と呼ばれるが、これは口が小さく、顔が細長いためにつけられたもので、口は吻端にあって、受け口で小さく、いわゆる「おちょぼ口」の感じがする。
しかし、関西ではムギツクをクチボソと呼ぶ地域があり混称している。

繁殖期は4月~8月で、ヨシなどの植物のほか、石やコンクリートなどの表面に卵を産む。

この時期には、雄は産卵床になるための石やコンクリートの表面のコケやゴミを取り除いて、その周りに縄張りをもつようになる。

また、この時期の雄は婚姻色を示し、鱗の縁が黒く縁取りされて全身が黒くなり、黒い縦縞はなくなってしまう。
鱗の外縁部や各ひれも紫がかった灰黒色となり、口の周りには棘状の追星が表れる。

産卵行動は曇りや小雨の早朝に行われることが多く、雄は雌の上に乗るようにして体を押しつけていく。
卵は粘着性のある淡い黄色をしていて、石などの上へひも状に産み付けられる。

卵は8~12日程でふ化するが、雄はその間は卵を守り、近づいてくる魚を追い払う。
稚魚は、同じヒガイ亜科に属しているカワヒガイやムギツクの稚魚によく似ているが、1年で約6㎝、2年で10㎝程になり、多くは1年で成熟する。
寿命は3~5年と言われているが、飼育下では長くなる。

モツゴは移入によって全国の河川などに広く生息しているが、これはモツゴが環境の変化や水の汚れに強いだけでなく、雄が卵につく汚れを掃除したり、これを守ったりすることによって、ふ化率が高いことも関係していると考えられる。

しかし、自然分布以外のものは中国大陸のものである可能性も指摘されていて、この場合は在来種との交雑が起こり、遺伝的撹乱が生じていると懸念されている。

また、ブルーギルなどの外来種の影響で生息数が激減したところもあり、地方によっては絶滅危惧種や準絶滅危惧種などに指定されていることもある。

食用としてモツゴの鮮魚が流通することはないが、佃煮などに加工されることが多い。
また、釣りや網などで捕らえて、唐揚げや天ぷらにするところもあるが、モツゴは「脂魚」とも書かれ、油っぽいとも言われている。


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