ビワヒガイ

ビワヒガイ コイ目・コイ科



ビワヒガイ


ビワヒガイ 1ビワヒガイ 2ビワヒガイ 3ビワヒガイ 4

標準和名 ビワヒガイ (琵琶鰉)
分 類 コイ目・コイ科・ヒガイ亜科・ヒガイ属
学 名 Sarcocheilichthys variegatus microoculus
分 布 琵琶湖など
生息環境 湖や川の下流域など
全 長 15~20cm 程度
別名・地方名 ヒガイ、サクラバヤなど
ビワヒガイは琵琶湖・瀬田川に自然分布する固有の淡水魚で、大きいものだと全長20cm程かそれを超えるものもいる。
現在は東北や北陸、関東地方のほか、山梨県・長野県と四国の高知県など、各地に広く移入されているが、移植放流(霞ヶ浦には1918年に移植放流さている)のほか、多くは琵琶湖産アユの放流種苗に混ざって広がったものと考えられている。

体はやや側扁した紡錘形で、口は吻先の下の方にあり、短い口ひげが2本ある。
側線は完全で、体側の真ん中を縦走している。

背びれに一本の黒い縞があり、体には暗い斑紋が見られるが、体色や斑紋の様子は亜種のカワヒガイによく似ている。
また、雌雄や年齢によって体色や斑紋が変わっていくこともカワヒガイに似ている。

幼魚や雌、若い雄には体側に黒っぽい縦帯があるが、成長するにつれて薄れていき、斑紋などはなくなってしまうものもいる。
また、繁殖期の雄は体が黒ずみ、頬がピンク色やオレンジ色になって目が赤くなることなどもカワヒガイによく似ている。

両種を比べると、カワヒガイに比べて、普通はビワヒガイの吻はとがった感じで眼は小さく、尾柄は低い。
また、ビワヒガイの尾びれはカワヒガイに比べて切込みが深く、後縁の丸みが少ないなどの違いが見られる。
しかし、個体差などもあって、一見して見分けるのは難しく、地域によっては両種の交雑も起こっていて、更に見分けるのが困難になっている。

普通は水のきれいな川の下流域、湖などに生息するが、場所によっては川の中流や上流域にも生息している。
主に砂底や砂礫底などを好み、水底近くを泳いでいることが多い。

ビワヒガイは石に付着している藻類なども食べるが、トビケラやユスリカなどの水生昆虫の幼虫、小型の巻貝などの底性動物をよく食べる。
このとき、石の間などに潜んでいるものを突き出したりするのに都合よく、ビワヒガイの両顎は、前下方にかなり伸ばすことが出来るようになっている。

繁殖期は4~7月で、産卵場所は沈水植物がまばらにあって、二枚貝がいるところが選ばれる。
これは、卵をタナゴの仲間のようにイシガイやマルドブガイ、カラスガイなどの二枚貝に産み付ける習性を持つためであるが、タナゴが貝の鰓に卵を産みつけるのに対して、ヒガイの仲間は貝の外套腔に産みつける。

卵は水温20℃で10日程でふ化し、稚魚は貝から出てすぐに泳ぎだす。
寿命は5~6年程度と言われているが、幼魚の間は体側に黒い帯が縦走しているので、モツゴムギツクの幼魚にもよく似ている。

ヒガイは「鰉」と書くが、これは、かつて明治天皇が琵琶湖水系の瀬田川でとれたヒガイを賞味されたところからつけられた国字であることはよく知られているが、ヒガイは骨は硬いが美味しい魚で、塩焼や照り焼き、唐揚げ、南蛮漬けなどにして食用とされる。

ビワヒガイはカワヒガイに比べて生息数が多いと言われているが、生息地の開発や産卵の条件となる二枚貝の減少など、生息数の減少も懸念されている。
また、同じ琵琶湖に生息しているアブラヒガイは、現在環境省のレッドリストに絶滅危惧種として指定されている。


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